円周率πの近似値を求める試みは、フランスのビュホン(Buffon:1707−1788)が針を投げて円周率πを求めようとするなど、古くは紀元前の昔から行われていました。
 この試みは、大きく分けて次の3つの時期に分けることができます。

円に内接する正n角形と外接する正n角形の周の長さからπの近似値を求める】
 円周率πは既にBC2000年ごろ、バビロニアで発見されていました。円周の長さの直径に対する比例定数として認識されていたことでしょう。このとき、π=3 または π=3+1/8 と考えられていました。
 古代ギリシアのアルキメデス(BC287−BC212)は、円に内接する正96角形と外接する正96角形の周の長さから、3 + 10/71 < π <3 + 1/7 であることを発見しました。
 ヨーロッパで最も有名なπの近似値は、π=355/113 で、これを小数にすると、3.14159292・・・ となり、小数第6位まで正しく求められています。中国の祖沖之(そちゅうし)が5世紀に発見しました。
 インドのアリアバータ(476−550)は、π=62832/20000 としていました。これを小数にすると、3.1416 となり、小数第3位まで正しく求められています。
 アラビアのアルクワリズミ(780−850)は、π=22/7 としていました。これを小数にすると、3.142857143・・・ となり、小数第2位まで正しく求められています。
 オランダのルドルフ(1540−1610)は、円に内接する正2の62乗角形の周の長さで、小数第35桁までπの近似値を正しく求めました。彼は死ぬまで、その生涯を円周率πの近似値の計算に捧げました。πのことをドイツではルドルフ数と呼んでいます。
 アルキメデス(BC287−BC212)からルドルフ(1540−1610)までの約2000年の間に、πの正しい近似値は、小数第2位から小数第35位まで進みました。しかし、アルキメデスからルドルフまでの約2000年の間にわずか33桁伸びたにすぎません。

πの無限級数や連分数から、手計算によってπの近似値を求める】
 17世紀に入ると、πの値に対して多くの無限級数や連分数が発見され、πの近似値の小数の桁数は急速に伸び、正n角形の辺の長さの計算によってπの近似値を求める競争は終わりました。

 πの無限級数や連分数を利用して、手計算でπの近似値を求めたものには、次の記録が残っています。
アイザック・ニュートンは、1665年に、小数第16桁まで正しくπの近似値を求めました。
アブラハム・シャープは、1706年に、小数第72桁まで正しくπの近似値を求めました。
ヨハン・マチンは、1706年に、小数第100桁まで正しくπの近似値を求めました。
ド・ラグニーは、1719年に、小数第127桁まで正しくπの近似値を求めました。
ベガは、1794年に、小数第140桁まで正しくπの近似値を求めました。
ウィリアム・ラザフォードは、1824年に、小数第152桁まで正しくπの近似値を求めました。
ヨハン・ダーゼは、1844年に、小数第205桁まで正しくπの近似値を求めました。
トーマス・クラウゼンは、1847年に、小数第248桁まで正しくπの近似値を求めました。
ウィリアム・ラザフォードは、1853年に、小数第440桁まで正しくπの近似値を求めました。
リヒテルは、1855年に、小数第500桁まで正しくπの近似値を求めました。
ウィリアム・シャンクスは、1874年に、小数第527桁まで正しくπの近似値を求めました。
フェルグソンは、1946年に、小数第620桁まで正しくπの近似値を求めました。
フェルグソンは、1947年(1月)に、小数第710桁まで正しくπの近似値を求めました。
フェルグソンは、1947年(9月)に、小数第808桁まで正しくπの近似値を求めました。(このときは、卓上計算機を使用しました。)

πの無限級数や連分数から、コンピュータによってπの近似値を求める】
 20世紀に入ると、コンピュータの発達・改良によって驚くほどの速さでπの桁数は伸びています。
 1949年、アメリカで初めてコンピュータを用いてπの計算が行われました。このとき、ENIACというコンピュータで、マチンの公式 π=16arctan(1/5)−4arctan(1/239) を使い、70時間かけて小数第2037桁まで正しくπの近似値を求めました。

 πの無限級数や連分数を利用して、コンピュータでπの近似値を求めたものには、次の記録が残っています。
■ 1958年、フランスで、IBM−704というコンピュータを用いて、10,000桁まで正しくπの近似値を求めました。
■ 1959年、イギリスで、IBM−7090というコンピュータを用いて、20,000桁まで正しくπの近似値を求めました。
■ 1961年、アメリカで、IBM−7090というコンピュータを用いて、100,256桁まで正しくπの近似値を求めました。
■ 1966年、フランスで、IBM−7030というコンピュータを用いて、250,000桁まで正しくπの近似値を求めました。
■ 1967年、フランスで、CDC−6600というコンピュータを用いて、500,000桁まで正しくπの近似値を求めました。
■ 1986年、アメリカで、クレイ−2というコンピュータを用いて、29,360,000桁まで正しくπの近似値を求めました。
■ 1987年、日本で、SX−2というコンピュータを用いて、133,550,000桁まで正しくπの近似値を求めました。
■ 1988年、日本で、HITACS−820/80というコンピュータを用いて、201,326,000桁まで正しくπの近似値を求めました。
■ 1988年、アメリカでは、480,000,000桁まで正しくπの近似値を求めました。

 現在では、π=24arctan(1/8)+8arctan(1/57)+4arctan(1/239) という展開公式を用いて、コンピュータに計算させています。
■ 1989年(7月)、日本で、536,870,000桁まで正しくπの近似値を求めました。
■ 1989年(9月)、アメリカで、1,011,196,691桁まで正しくπの近似値を求めました。
■ 1989年(11月)、日本で、1,073,740,000桁まで正しくπの近似値を求めました。


 πの無限級数や連分数を利用して、コンピュータでπの近似値を求めた偉大な人たちの試みを真似て、シミュレーションソフト「魅力な数π」を作ってみました。
 パソコンを利用した簡単なプログラムなので、πの近似値の小数の桁数は全く期待できませんが、このシミュレーションソフト「魅力な数π」を自由にダウンロードして遊んでみてください。
 「ビュホンの針」実験例のPDFファイル「円に内接する正多角形の周の長さからπの近似値を求める」実験例のPDFファイルが作成してありますので、参考にしてみてください。
 もちろん無料ですので安心して使ってください。
 「ビュホンの針でπの近似値を求める」や「モンテカルロ法を利用してπの近似値を求める」等のシミュレーションもあります。
 ダウンロードしたファイルは圧縮してあるので解凍してください。
 使用方法は、解凍して作られるフォルダの中のファイル Readme.txt を参照してください。

No シミュレーションソフト名 対応OS
 VBアプリケーションソフト『魅力な数π』 Windows Me/2000/XP/Vista/7/8
 VBアプリケーションソフト『魅力な数π』 Windows 95/98
 Javaアプリケーションソフト『ビュホンの針』 Windows XP/Vista/7/8
 Javaアプリケーションソフト『ウォーリスの公式』 Windows XP/Vista/7/8
 Javaアプリケーションソフト『グレゴリー・ライプニッツの公式』 Windows XP/Vista/7/8
 Javaアプリケーションソフト『オイラーの公式』 Windows XP/Vista/7/8
 Javaアプリケーションソフト『松永良弼の公式1』 Windows XP/Vista/7/8
 Javaアプリケーションソフト『松永良弼の公式2』 Windows XP/Vista/7/8

以下で、上記のJavaアプリケーション及びJavaアプレットのプログラムリストをダウンロートできます。

No プログラムリスト名 ファイル形式
 Javaプログラムリスト『ビュホンの針』 PDF
 Javaプログラムリスト『ウォーリスの公式』 PDF
 Javaプログラムリスト『グレゴリー・ライプニッツの公式』 PDF
 Javaプログラムリスト『オイラーの公式』 PDF
 Javaプログラムリスト『松永良弼の公式1』 PDF
 Javaプログラムリスト『松永良弼の公式2』 PDF


参考文献 「円周率πの不思議」 堀場芳数著 講談社出版




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